タイのゴーゴーバー、行ったことありますか?
ゴーゴーバーとはタイの首都バンコクにある、ビールやウイスキーなどのアルコールを提供するバーのことです。照明が落とされた中で大音量の音楽が流れ、バーガールたちが踊る様子を見ることができます。
それだけではなく、バーガールと一緒に飲んだり、ゴーゴーバーを一緒に抜け出したり?なんていうこともできる場合があるとか。
「ゴーゴーバーに行ってみたいけど、ちょっと不安」、「タイを訪れたことがあり、すっかりはまってしまった」という方に、タイに長期滞在して書かれた本を3冊紹介します。どれも学術書なので、導入と結論部分は難しい印象を受けるかもしれません。でも、タイで実際に起こった記述を読むだけで、質の高いドキュメンタリーを見ている気分になります。
- ゴーゴーバーの経営人類学ーバンコク中心部におけるセックスツーリズムに関する微視的研究 (市野沢 潤平/めこん)
- タイ・マッサージの民族誌ー「タイ式医療」生成過程における身体と実践ー(飯田 淳子/明石書店)
- 差異とつながりの民族誌ー北タイ山地カレン社会の民族とジェンダー (速水 洋子/世界思想社)
- まとめ
ゴーゴーバーの経営人類学ーバンコク中心部におけるセックスツーリズムに関する微視的研究 (市野沢 潤平/めこん)
タイに研究のために滞在し、ゴーゴーバーに通い続けて書かれた本です。ゴーゴーバーというと、主に観光客がバンコクでの夜を楽しむためにふらっと訪れるイメージがあります。
観光客による「ゴーゴーバーに行ってみた」という内容の記事は沢山あっても、長期滞在でバーガールとの信頼関係も築いたうえでの報告は、他に見られないのはないでしょうか。この本は普通の観光客では深入りできなかったところまで、詳細に記述されています。
露出度の高い衣装のせいで、他のバーガールとのスタイルの差に悩む姿。でもその差があるからこそ、自分の容姿にはまらないだろう客は他のバーガールに紹介し、逆に自分を好みそうな客は紹介してもらうという協力行動。「行ってみた」観光客の話ではなく、働いているバーガールたちの声が聞こえてきます。
ゴーゴーバーに行くチャンスがあれば、その前に読んでおきたい1冊です。
タイ・マッサージの民族誌ー「タイ式医療」生成過程における身体と実践ー(飯田 淳子/明石書店)
タイマッサージの店は、今や日本でもよく見かけますよね。それだけ人気があるものと予想できます。「古式」とかついていると、より権威がありオーセンティックに感じます。
この本はタイの中心都市チェンマイの病院と、チェンマイ県内の農村でのタイマッサージの実践の様子を追っています。タイマッサージが有名になり、観光業に取り入れられていくにつれ、正式なやり方から少しずつずれていってしまいます。観光が絡んでくると難しいのは、「観光客に受ける」ように改編しないとお金にならないことなんですよね。
「正式なタイマッサージ」は観光で提供されるようなものではなく、医療の一環として行われているという主張も見られます。日本で受けられるタイマッサージ、タイ観光で試せるタイマッサージは、「本来のタイマッサージ」から実は離れたところにあるのかもしれません。
差異とつながりの民族誌ー北タイ山地カレン社会の民族とジェンダー (速水 洋子/世界思想社)
カレン族という名前を聞いたことがあるでしょうか。カレンは北タイからミャンマーに住む少数民族です。首に金のリングを付けた首が長い女性を、テレビなどで見たことがある方も多いのではないでしょうか。
カレンの女性たちに焦点を当てた本で、長い年月をかけてカレンを知ろうとした著者の姿勢が伝わってきます。20年にわたるカレンと著者との付き合いで得られた信頼関係があって、出来上がった本です。
タイトルの通りジェンダーの視点から、カレンの女性であることによる周囲との差異、差異を乗り越えた先に見出せるつながりについて論じられています。
まとめ
日本から直行便も多く出ており、旅行先としても人気が高いタイ。バックパックで行ったり、女子旅で行ったり、カップルでリゾートに行ったりと多様な楽しみ方があります。
タイへの長期滞在で研究された本を3冊から、観光だけでは分からないタイの姿について関心を持ってもらえたら嬉しいです。