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【感想】「翻訳できない世界のことば」ほんやくこんにゃくができても、私は言語を学ぶ


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翻訳のサービスは日々進化していて、英語ができなくてもアプリを使えば旅行はスムーズに、外国人の方と商談だってできる日はほとんどそこまで来ていますよね。既に登場しているシステムでも、意思疎通をはかるには十分なレベルのものが沢山あります。

 

 

では、英語や外国語を学ぶ意味はどんどん薄れていってしまうのでしょうか…?

 

 

最低限のコミュニケーションがとれればよいだけなら、英語を頑張って勉強しなくても、翻訳アプリを使えば多くのことは解決できると思います。でも、それだけでは伝えきれない気持ちとか、表現とか沢山ありますよね!

 

今回はニューヨークタイムズベストセラー、Amazon USAベストセラーに輝いた”Lost in Translation”の日本語訳「翻訳できない世界のことば」を読んだ、語学好きの感想をお届けします。

 

 

※英語、フランス語、イタリア語学習をブログ内で記事にしてますので、よろしければ合わせてご覧ください。

 

翻訳できない世界のことば (エラ・フランシス・サンダース/創元社)

本書は「ひとことでは訳せない、世界のユニークな単語たち」を集めた絵本です。世界から集められた52単語が、子供から大人まですっと入ってくるイラストとともに紹介されています。

 

日本語からは木漏れ日、ぼけっと、侘び寂び、積ん読が登場します。日本語で聞くとすぐにその意味が分かるし、場面も何となく想像できますが「英語に訳してみて」と言われたら、ちょっと言葉に詰まりませんか。

 

 

反対に、「その状況を一言で表せる単語があるの?」と思う外国の言葉も見つけることができます。ロマンチックなものが多く、たった一単語で映画のワンシーンが浮かんでくるようです。

 

中でも、私が気になった単語を4つご紹介します。

 

 
 

MANGATA (モーンガータ/スウェーデン語)

水面にうつった道のように見える月明かり。

 

日本語での説明を見れば、その情景が頭に浮かびますよね。夜に海辺の近くを歩いていて、ふと月明かりが道のように映っているときに使う言葉なんでしょうか。MANGATAを使った例文も知りたくなりました。

 

日本語だったら「水面に映ってる月明かり、道みたいになっててきれいだね」といったセリフになるでしょうか。それでも十分伝わりますが、たった一言で表す単語があるということが美しいと思いました。

 

※キーボードの設定で表示できないのですが、一つ目のAの上に゜が付きます。

 

MAMIHLAPINATAPAI (マミラピンアタパイ/ヤガン語)

同じことを望んだり考えたりしている2人の間で、何も言わずにお互い了解していること。(2人とも、言葉にしたいと思っていない)

 

まず「ヤガン語」ってどこの言葉?と思いますよね。

 

チリのティエラ・デル・フエゴの近辺に暮らす原住民の言語だそうです。ティエラ・デル・フエゴを地図で調べたところ、南アメリカ大陸の南端でした。

 

この絵本では現地での表記方法も書いてあるのですが、MAMIHLAPINATAPAIについては「言語表記不明」だそうです。

 

 

実生活ではまずお目にかからないだろう言葉でも、たった一単語知っただけで、ティエラ・デル・フエゴが少し近づいた気がします。「マミラピンアタパイ」という響きも日本語で似た単語を探すのは難しそうです。

 

この単語、どういう時に使うのでしょう。仲の良い同僚同士で金曜日の夜、特に約束していないのに同じお店に集合してしまう状況とか? 用例を考えるのも楽しいです。

 

 

’AKIHI (アキヒ/ハワイ語)

だれかに道を教えてもらい、歩き始めたとたん、教わったばかりの方向を忘れたとき、「’AKIHIになった」と言う。

 

こういう状態になったこと、ありませんか。

 

振り返れば、私の人生で何度かはあったと思います。普段はGoogle mapやカーナビに助けられてばかりですが、迷路のような造りの街を訪れたときなど、現地の方に聞かないと目的地に辿り着かないことがあります。

 

 

親切に教えてもらって「そこの角を右、次は左…」と反復しても、お礼を言って歩き始めたとたんに「あれ?こっちでいいんだっけ?」となってしまう。

 

この状況を言い表す単語があるんだ、単語があるくらい一般的なことなのかも? 自分だけじゃないんだ、と思えました。ハワイを散歩する時には覚えておきたい単語です。

 

 

TSUNDOKU (ツンドク/日本語)

積ん読。買ってきた本をほかのまだ読んでいない本といっしょに、読まずに積んでおくこと。

 

積ん読。そこまで頻繁でなくても、日常生活で出てきて違和感がない単語ですよね。「読みたい本はあるのに時間がなくて、積ん読ばかりになってしまう」など例文が考えられます。

 

 

積ん読は日本だけの現象ではなく、海外でも普通に起こり得ると思います。本が好きな人、本を読みたいのに忙しい人であれば、国に関係なく共感してもらえる単語ではないでしょうか。

 

けれど、それを一言で表す単語がないんですよね。世界の読書好きに広まってほしい日本語です。

 

 

ほんやくこんにゃくができても、私は言語を学ぶ

4つの単語を紹介しただけでも分かるように「その状況は理解できても、一言で表す単語がない」言葉が、世界には沢山あることが想像できます。ちなみに「積ん読」を某翻訳サイトで訳したところ

 

buying books and not reading them

 

でした。意味は合っているんですが、それは状態を説明した文章であって、やはり一単語では表せないんですよね。

 

 

「ある感情とか状況に名前を付ける=一言で表す」これができる語彙が多ければ多いほど、切り取れる世界が広がる気がします。その言葉があることで頭の中を整理したり、状況の解像度が上がったりするような。

 

 

だから、ある程度長い期間外国にいて、帰国した時に「英語では○○っていうんだけど、日本語で何て言ったらいいんだろう…」という状況が発生するんだと思います。

 

その時はモヤモヤした気持ちになるんですが、そもそも日本語では言い表せなかった言葉を身に付けて、世界を見る目が変わったということなのではないでしょうか。

 

 

そういう違いが面白くて、その国の言葉でないと表現しきれないことが沢山あるから、ほんやくこんにゃくができても、私は語学をやめないと思います。そんなことに気づかされた絵本でした。

 

 

まとめ

「翻訳できない世界のことば」は絵本ですが、言葉に興味がある方、映画のワンシーンみたいなイラストをが好きな方であれば、大人でも存分に味わうことができます。

 

むしろ「この感情を表せる単語って何かないのか?」という経験がある大人こそ、しみじみと読むことができると思います。

 

 

小さな子供であればイラストを楽しめますし、言葉が身に付いてきた年齢であれば「世界にはたくさんの言葉があるんだ!」ということを発見する、きっかけにもなるのではないでしょうか。

 

 

素敵な絵本ですので、少しでも関心を持っていただけたら、語学好きの一人としても嬉しいです。