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【生きづらさ】を感じた時に手を伸ばしてほしい小説3選


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うまく言葉にできないけど、世の中にもやもやする。

なんだか違和感があって、「何が」とは言えないんだけど、しんどい気持ちになる。

でもそれを誰も分かってくれない気がするし、誰かに分かってもらえるよう説明できる気がしない。

 

 

 

「生きづらいな」と感じること、人によって程度や頻度が違っても全然ない人の方が少ないはずです。

 

こんな風に感じているのは自分だけなのかな、と思うとますます孤独な気持ちになってしまいます。

 

 

今回は人気がある小説の中でも、

特に「生きづらさ」を感じた時に読みたい3冊を紹介します。

 

自分の感じていたもやもやが、のみ込みやすい言葉に変わっているのを読むだけでも、少し救われる気がすると思います。

 

 

 

 

コンビニ人間 (村田 沙耶香/文藝春秋) 「普通」ってなんだろう

 

「普通ってなんだろう」そう思わずにはいられません。

 

芥川賞を受賞している本作は累計発行部数100万部を突破しているそうです。

 

それだけ多くの方に共感されているんだろうと思います。

なのになぜ、世間は「普通でないこと」に厳しいままなのでしょうか…。

 

 

別にいいですよね。

自分の面倒を自分でみて、コンビニバイトでお給料をもらって、

コンビニ食で食事を賄って、小さいアパートで慎ましく生活している30代女性も。

 

 

誰に迷惑をかけているわけでもないのに

 

「就活して、企業に就職して、恋愛して、結婚して、子供を産んで、子育てして」

 

という一連の「普通像」から外れると、

まるで恥ずかしいことであるように口を出す人がいるのはどうしてなんでしょうか。

 

 

「普通」である自分は、「普通じゃない赤の他人」の人生に

土足で踏み入れる権利があるのでしょうか。

 

 

こうしてみると「普通」ってかなりハードル高いことのようにも見えます。

 

 

自分は「普通」じゃない、と悩んでいる方に読んでほしいです。

 

生きられますから、「普通」じゃなくても。

 

 

 
 

※「芥川賞受賞作『コンビニ人間』を、コンビニで働く人たちが読んでみた」という記事がありました。面白い試みです。

 

 

芥川賞受賞作『コンビニ人間』を、コンビニで働く人たちが読んでみた 『コンビニ人間』 (村田沙耶香 著) | 特集 - 本の話

 

 

 

持続可能な魂の利用 (松田 青子/中央公論新社) 日本の女性って、生きづらくない?

 

女性の、特に日本の女性の生きづらさについて、

少し変わった設定でアイドル文化も取り入れながら訴えている作品です。

 

 

「男女平等」を掲げてはいるものの、全てその通りにはいかないどころか、

平等に行われていることの方が少ないのかも…?

 

 

国会でも会社でも、結局最終的な判断を下すのは決まって年齢が上の男性、

いわゆる「おじさん」がほとんどです。

 

 

「おじさん」基準で物事が決まっていく世の中なんですよね。

 

 

「なんだか日本の女性って生きにくい気がする」という曖昧な予感を、

実際に現代日本のあちこちで多発していそうなストーリーが確信に変えてきます。

 

 

 

「おじさん」は、なぜ少女は消えたのか、少女に何が起こったのか、といった問題ばかりを論じたがり、自分たちの心体に何がおこっていて、自分たちの何が原因なのか、といった点には決して踏み込もうとはしなかった。

 何であろうと、「おじさん」は自分自身に原因があるとは信じたくなかったのだ。

 

 

 

「おじさん」から少女が見えなくなったのに、

「おじさん」は「自分から少女が見えなくなるなんてありえない」

「少女が消えてしまったのだ」と騒ぐんです。

 

 

自分たちがおかしいとは思っていないんですよね。

 

 

「おじさん」のせいで生きづらさを感じている方に

「あなただけじゃない」と言ってくれているようです。

 

 

 

※「おじさん」は必ずしも年齢が上の男性ではありません。

若くても女性でも、本作で登場する「おじさん」になり得ます。

年齢が上の男性を無条件に非難している作品ではありません。

 

 

 

 

死にがいを求めて生きているの (朝井 リョウ/中央公論新社) 自分には生きがいがない…

 

まず、タイトルにドキッとしますよね。

 

普通は「生きがい」というところを、「死にがい」って…。

 

 

でも、読んでみて納得のタイトルです。

それなりに厚い本ですが、ストーリーがあちこちでつながっていて、

はまると一気に読めると思います。

 

 

 

本を読んだ感想は人それぞれですが、私は大きく2つのテーマがあると思いました。

 

 

「生きがいがないと生きられないのか」と

「生まれつき備わっているものを根拠とした分断は乗り越えることができるのか」

です。

 

 

「生きがい」をもった人のSNSに圧倒されている方、

「自分には生きがいがない」と感じている方に読んでほしいです。

 

 

「生きがい」と思っていることは、実は「死にがい」かもしれないですよ。

 

 

 

 「明日は何かが起こる、変わる。だから今日はその前日、と思って命を引き延ばしていく」

 

 

なるほどと思うところがありました。

 

眠りに落ちる前、明日に少しだけ期待しつつ、

結局何も変わらないんじゃないかと思うこと、ありませんか。

 

 

 

本作には「海族」「山族」という相容れない2つの系譜が登場します。

 

それぞれの系譜で育った主人公たちが、主義主張の違いからすれ違いつつも、

その都度どうにかいさめながら成長していきます。

 

 

自分と考えが違う相手、もっと広く言えば、

遠い国で全く違った文化で生きてきた人と分かり合うことができるのか。

 

 

「対話」の大切さが説かれています。

 

 

 

 

まとめ

「生きづらさ」を感じている方に手に取ってほしい小説を、3冊ご紹介しました。

 

自分の置かれた状況に近いもの読んで、少しでも気持ちが楽になったり、

一人じゃないんだと思ってもらえたら、紹介したかいがあります!