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【感想・レビュー】「労働の思想史」働く意味って結局何なの?


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朝から晩まで、月から金まで、新卒から退職まで

日々繰り返される労働。

 

 

 

私たちは生存を維持するために働くわけですが、

必要以上に頑張ってしまうのはなぜなのでしょう。

 

 

ただ生きていくためだけなら、

数十年間、毎日のように行わなくても事足りそうにも思えます。

 

 

 

  • 最近、仕事に疲れている方
  • 今の働き方を続けていいのか、迷っている方
  • 働くことの意味を、歴史から知りたい方

 

 

こんな方に読んでみてほしい本です。

 

 

哲学と聞くと難しい印象を持つかもしれませんが、

解説が分かりやすいので、心配いりません!

 

 

 

 

「労働の思想史」の概要

 

労働の思想史 (中山 元/平凡社)

 

 

 

哲学者たちが働くことをどう考えてきたのか、明らかにする1冊です。

 

 

 

アレントが提示した古代ギリシアにおける

労働、仕事、活動という分類を基礎とします。

 

 

労働、仕事、活動と言う人間の行為の区別が

現代においてどのように揺らいできたかを、時系列を追いながら説明しています。

 

 

 

皆さんも名前を聞いたことがあるだろう、

著名な哲学者が何人も登場します。

 

 

ホッブズ、ロック、ヒューム、ルソー、カント、ヘーゲル...

 

 

 

私も、名前は知っていても、

どのような思想かまではよく知りませんでした...。

 

 

多くの哲学者たちから広まった思想が分かり、

改めて哲学者ってすごいな...と感心する一方で、

人間ってずいぶん昔から、同じようなことを考えていたんだなあと思わされます。

 

 

 

私たちは働きながら、

 

①自己の生存維持を実現していること

②何らかの成果を世界に残すこと

③他者に対して自己の力を示し、他者からの評価を獲得すること

 

が明らかになりました。

 

 

アレントの分類によれば、

 

①「労働」は人間が自分の生命を維持するために必要な苦しい営みで、

きわめて個人的なもの。

②「仕事」は人々が自分の能力を発揮してい社会のために

何かを残そうとするもので、創造的な性格を備える。

③「活動」は人々が公的な場において

自分の思想と行動の独自性を発揮しようとするもの

 

を指します。

 

 

 

つまりアレントは、この活動という営みを、

労働や仕事とは明確に異なる特別な次元の行為と捉えています。

 

 

感想

プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」、

「ブルシット・ジョブ」と通じるところが多くあって、

人はなぜ労働から逃れられないのかという疑問に対する見解が深まりました。

 

 

 

信仰心から欲を捨てて勤勉に働き節制に務めるほど、

富は蓄積されていくという矛盾。

 

 

そして、労働自体は辛いものだから、

効率的に行うことは求められていなかったという事実。

 

 

21世紀も1/4を迎えようとしている今、

私たちはもう少し、労働から解放されていいのではないか。

 

 

と思うのは、私が怠惰だからでしょうか?

 

 

 

人類学の文脈でもよく聞く「シャドウワーク」について、

きちんと読んだのは始めてだったかもしれません。

 

 

 

仕事は単純な勤労時間に収まらず、

仕事に相応しい服を準備する、身だしなみを整える、満員電車に揺られる、

そして帰宅後も明日の労働のために食べて寝る。

 

 

上に挙げたような行為の全ては、

仕事の再生産作業になってしまいます。

 

 

 

何かもっとこう、根本から変えられるところがないのかな?

と歯がゆく思ってしまいました。

 

 

 

プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神 (マックス・ウェーバー/岩波書店)

 

 

 

 

 

ブルシット・ジョブークソどうでもいい仕事の理論 (デヴィッド・グレーバー/岩波書店)

 

 

 

 

 

まとめ

私たちが働くことの意味を、

時代を超えて哲学者たちの思想から辿る

「労働の思想史」をご紹介しました。

 

 

「なんで働かなきゃいけないの?」の答えは、

偉大な哲学者たちが教えてくれるかもしれませんよ。

 

 

 

「労働の思想史」はKindle版でも読むことができます。

 

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仕事や労働というテーマに関心がある方は、

ぜひこちらも読んでみて下さい!

 

 

働くことの人類学【活字版】仕事と自由をめぐる8つの対話 (松村 圭一郎, コクヨ野外学習センター編/黒鳥社)