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【感想・レビュー】「働くことの人類学」 仕事にまつわる常識を、根底から問い直す


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どんなお仕事であっても、

やりがいを感じることや逃げ出したくなることの両方がありますよね。

 

毎日必死に目の前にある仕事をこなしているだけだと、忘れてしまいがちですが、そもそも私たち、なんで働いてるんでしたっけ?

 

 

この記事では、「働くことの人類学」の概要と感想をご紹介します。働くことの常識を、根底から問い直す1冊です。

 

気になった方は、ぜひ読んでみてくださいね。

 

 

 

「働くことの人類学」の概要

 

働くことの人類学【活字版】仕事と自由をめぐる8つの対話 (松村 圭一郎, コクヨ野外学習センター編/黒鳥社)
 

 

 

この本は、コクヨ野外学習センター企画・製作によるポッドキャスト番組「働くことの人類学」にて公開された6つのエピソードと、

 

コクヨ野外学習センターpresents《働くことの人類学》タウンホールミーティング」の内容を加筆・編集し、オリジナル企画を加えて書籍化したものです。

 

 

私はこのポッドキャストを聞いたことはないのですが、語り口が活字版になっていて読みやすいです。

 

 

ややアカデミックで専門的なエピソードが何度も登場しますが、人類学の先生方は情景が目に浮かぶように楽しく説明しています。

 

 

これまで全く聞いたことがないような民族の名前や、

私たちのライフスタイルとは異なる人たちの様子が語られても、

編者で聞き手の松村さんが的確に質問を挟んでくれるので、おいていかれることはありません。

 

 

世界は広く、生活様式は決して画一的ではない。

 

狩猟採集民や移民、商人たちは私たちと全く違うようでいて、似ている部分もある。

 

 

「働く」をテーマに、人類がともに生きていく際に生じる、楽しみや煩わしさが見えてきます。

 

 

6人の人類学者のフィールドはそれぞれ個性があって、

気になるトピックから読み始めても楽しめます。

 

 

1.貝殻の貨幣〈タブ〉の謎 深田淳太郎

: パプアニューギニアのトーライ社会

 

2.ひとつのことをするやつら 丸山淳子

: アフリカ カラハリ砂漠ブッシュマン

 

3.胃にあるものをすべて 佐川徹

: エチオピア南部の牧畜民 ダサネッチ

 

4.ずる賢さは価値である 小川さやか

: タンザニアの古着商人

 

5.逃げろ、自由であるために 中川理

: 東南アジアから南仏に移動したモン

 

6.小アジのムニエルとの遭遇 久保明

: ロボット、AIと働くということ

 

 

感想

働くって何なのか。なぜ、何のために働くのか、よく考えさせられました。

 

 

特に、働かなくても飢え死にしない社会というのは、インフラや行政が整っていなくても豊かに見えました。

 

例えば村にいればご飯をせびることができるとか、

貸しがある相手があちこちにいるとか......

 

 

反対に、目の前にスーパーがいくつもあって、食べ物は余るほど置いてあっても、

お金を払えなければ飢え死にしかねない国ってどうなんでしょうね。

 

 

資本主義経済を基盤として生活することが、便利であることは否定できません。

 

 

でも、ステマチックな決まりに頼り過ぎると、逆に生きにくくなる気もしました。

 

便利さを追求して、自分たちの首を絞めている場面があるかもしれません。

 

 

困っている人がいたら、無理のない範囲で手を差し伸べたり、

何かのついでに頼まれごとをしたり。

 

 

気軽にそうしたやり取りが成立する社会を羨ましく思う反面、

そこには騙し騙されたり、主義主張を繰り返す煩わしさがあることもまた、事実です。

 

 

ないものねだりと分かっていても、もう少し柔軟な世界を取り戻す、

あるいは付け加えるくらいの余裕が、自分を含む社会に欲しいものです。

 

 

まとめ

働くことにまつわる各地のエピソードを元に、

私たちの生活自体を見つめ直せる本をご紹介しました。

 

一生懸命働いたり、日々を忙しく過ごしたりする中でも

ふと立ち止まって読んでほしい1冊です。

 

 

「働くことの人類学」はKindle版でも読むことができます。

 

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あわせて読みたい

「働くことの人類学」でも引用されている「ブルシット・ジョブ」は、私のお気に入りの1冊です。

 

そもそもなぜ働かなければならないのか? 資本主義が際限なく増殖する現代社会での仕事の理論を、遠慮なく暴いてくれます。

 

 

ブルシット・ジョブークソどうでもいい仕事の理論 (デヴィッド・グレーバー/岩波書店)

 

 

 

仕事が辛いのはどうして? 忙しすぎてしんどい、行っている作業の意味を感じられなくて虚しい...など、仕事にまつわる「辛い」の理由が見えてきます。

 

「ブルシット・ジョブ」は、こちらの記事でも紹介しています。

 

knonononai.hatenablog.com