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【読書】仕事が辛いのはどうして? 当たり前を問い直せる本3選


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お仕事、辛いですか?

 

どう考えても終わらない業務量に上司からの指示、ストレスで不安になったり眠れなくなったりしていませんか?

 

 

具体的な悩みとその改善方法について、既に様々なサイトが取り上げています。そういったサイトでは、

 

  • 仕事が辛い本人
  • 本人の上司/同僚
  • 社風や職場環境

 

以上のいずれかに、仕事が辛いと感じる原因を求めているのではないでしょうか。でも、転職したとしても、転職した先で同じような辛い状況になるかもしれないですよね。

 

 

今回はちょっと視点を変えて、読書から「仕事辛い問題」を考えます。仕事が辛いと感じる理由は、当人とかその会社というレベルではなく、もはや社会の仕組み自体にあるのかもしれない…。

 

 

平たく言えば、あなたのせいじゃない!ということが分かれば、少しでも気が楽になりませんか?

 

  • 今まさに仕事が辛い方
  • 仕事が辛いけど、生きるために仕方なく我慢している方
  • 転職してもどうせ同じような環境なのでは、と希望が持てない方
  • 今の仕事に意義を見出せない方
  • 自分にしかできない仕事ってあるのか?という疑問を持っている方

 

気がまぎれるヒントを見つけられますように!

 

 

ブルシット・ジョブークソどうでもいい仕事の理論 (デヴィッド・グレーバー/岩波書店)

 

 

タイトルからしてドキッとしますよね。英語での「ブルシット」が邦題では「クソどうでもいい」と訳されています。そう、現代は実はクソどうでもいい仕事が蔓延していることを、著者である文化人類学者があばいてくれました。

 

 

私がここ1年で読んだ(ジャンル問わず約30冊程度)中で、最も強烈に印象に残った本です。

 

 

本書は厚みがありますし、学術書で最初は難しい印象を受けます。しかし、読んでいるうちに、おかしなミステリーを解き明かしていく過程を眺めている気持になります。おかしなミステリーと言ったのは、まさに私たちが置かれている長時間労働、意味のない仕事の山のことなのですが。

 

 

著者によれば、ブルシット・ジョブには5つのタイプがあります。具体的な職業名も挙げられているのですが、ここでは控えます。気になる方は本書で確認してみてください。自分の仕事はブルシット・ジョブに当てはまるかどうか。

 

  1. 取り巻き…偉い立場にある人、例えば大企業勤務とか会社の重役とかを立派に見せるために存在している仕事。
  2. 脅し屋…他者を脅すために存在している仕事。
  3. 尻ぬぐい…組織の欠陥を埋めるために存在している仕事。
  4. 書類穴埋め人…表向きの目標達成には何ら結びつかない書類を、穴埋めする仕事。
  5. タスクマスター…仕事を他者に配分するだけの仕事。

 

自分がやっている仕事に、心当たりはありますか?

 

 

本書は「ブルシット・ジョブ」の存在を明らかにしただけでは終わりません。

 

  • 保育士や介護士のように明らかに重要であると分かるのに、そういった仕事こそなぜ給料が低いのか。
  • 自分の仕事は無駄だと感じている人が、実はどれだけ存在しているか。
  • なぜ、「仕事を辞める」ほど追い込まれる前にSOSを出せないのか。

 

疑問に思ったことはありませんか?本書は上に挙げた問いにも、歴史、文化、現代社会人の豊富な訴えから、驚くような答えを提示しています。
 
 
 

ピーターの法則 創造的無能のすすめ (ローレンス・J・ピーター/ダイヤモンド社)

 

 

こちらの本もなかなか…。世の中、知らない方が幸せなこともありますよね。ピーターの法則とは、

 

階層社会では、すべての人は昇進を重ね、おのおのの無能レベルに到達する。

 

簡単に言うと、このような法則です。日本のピラミッド式の会社であれば、多少の違いはあれど、おおよそ

 

  • 社長
  • 専務
  • 常務
  • 部長
  • 課長
  • 係長
  • 社員

 

というように続くのではないでしょうか。昇進は一般的に能力が認められた、喜ばしいことです。

 

 

しかし、

 

  • 一社員として有能だった人が係長に向いているか
  • 係長として能力が高かった人が課長の仕事をこなせるか
  • 課長として認められた人が部長の裁量を与えられて、それを使いこなせるか…

 

能力を超えた昇進が連鎖すると、会社の中が無能だらけになってしまうというのです。

 

 

自分が無能の域に達することを避けるには、頑なに昇進を断るのではなく(この対応はお勧めできません)、そもそも昇進の話を持ち掛けられないように工夫すること、と本書は述べます。

 

これから昇進を控えている方は、階層社会を生き抜く方法を事前に学ぶために、一読してみてはいかがでしょうか。

 
 
 

スマイルズという会社を人類学するー「全体的な個人」がつなぐ組織のあり方 (小田 亮他/弘文堂)

 

 

最後は、日本の会社の働き方を扱った本です。Soup Stock Tokyoというスープ店を聞いたことがある方は、多いのではないでしょうか。

 

本書では、そのSoup Stock Tokyoの元となった株式会社スマイルズの仕組みについて、社員へのインタビューを元にまとめています。

 

 

Soup Stock Tokyo(スープストックトーキョー)

 

 

スマイルズでは、従来の日本の会社に多いシステム型の業務分担ではなく、ネットワーク型を重視して仕事が進められています。

 

 

従来のシステム型では、社員ごとに業務が割り当てられ、それに沿って働きます。これが主な理由で「自分がやっている仕事は、他の誰でもできる。自分は換えがきく部品のようだ」と感じる人がいるかもしれません。

 

 

スマイルズで採用しているネットワーク型は、水平のつながり、つまりピラミッド構造ではなくフラットな関係を重視します。システム型のようにきちっと割り当てが決まっていない、もしくは曖昧なため、一緒に働くメンバーがどのように考えているのかを聞きながら働く必要があります。

 

 

一見非効率に見えるネットワーク型ですが、システム型よりも柔軟性があります。役割を超えた個々人が結びついて進めるネットワーク型は、自分のことを部品、もしくは歯車のように感じる働き方とは対極にあるのです。

 
 

まとめ

仕事が辛い理由は悩んでいる当人、もしくは職場に原因があるのではなく、そもそもの社会に仕組みにあるのではないか、という観点から3冊を紹介しました。

 

 

そもそもの社会の仕組みが、仕事を辛く感じさせるものであるとしたら、それはそれで大問題なのですが…。

 

 

今回言いたかったのは「仕事が辛いのは、自分がダメだからだ」と、自分を責めないでほしい、ということです。

 

社会の仕組みが見えてくることで、少しでも視界がクリアになってくれたら、本記事を投稿した意義があります。

 

 

※愛用しているオススメのしおり

knonononai.hatenablog.com