ことの発端は、資本主義経済について書かれた、中学生向けの分かりやすい本を読んだことでした。
この本を読んだのは、自分だって労働力を提供し、賃金を得て資本主義経済に参加しているのに、その仕組みをあまり分かっていないと感じていたからです。
その中で紹介されていた「イスラーム銀行」の説明が面白く、関連した本を最近2冊読みました。「イスラーム銀行」はお金を貸しつける相手から、利子をとることができません。では、どうやって存続しているのか、読んだ内容のまとめもかねてご紹介します。
※資本主義経済について読んだ本をまとめた記事はこちらです。
※仕事が辛い理由は、社会のシステムにあるのでは?と考えた本3冊。
イスラームを知る12 イスラーム銀行 金融と国際経済 (小杉 奏, 長岡 慎介/山川出版社)
概要
感想
イスラーム金融ー贈与と交換、その共存のシステムを解く (櫻井 秀子/新評論)
概要
こちらはイスラーム銀行も含んだ、より広い範囲のイスラーム金融についての本です。
具体的には、サブタイトルにあるように、イスラーム圏で贈与と交換がどのように共存んしているのかを説明しています。
- 贈与とは、長期的な相互関係を想定し、無償で何かを提供することです。
- 交換とは、物品とその代金のように、即座に対応するものをやりとりすることです。
資本主義経済では、圧倒的に交換の割合が高いです。お金を払えば商品がすぐ手に入るのは確かに便利で、これからも続いていくだろう仕組みですが、それが現代の孤独感・閉塞感にも影響します。
では、イスラーム圏で見られる贈与は、どのような形で現れているのでしょうか。
その最たる例が「喜捨」です。喜捨とは貧しい人、旅人、生活が困難な人に対する寄付のようなものです。富裕層だけでなく、庶民も時には貧しい人であっても喜捨を行うほど、イスラーム圏では生活に根付いている習慣です。
喜捨は神からの贈り物という考えがあるため、喜捨を受けた人は、喜捨をした人に対してではなく、神に感謝するそうです。
喜捨をした人も「自分が貧しい人を助ける」という動機ではなく、「来世のために正しい行いをする」という理由らしいです。
この辺りの感覚が、多くの日本人とは異なるのではないかと思いました。
感想
先に述べたように、喜捨の説明は自分の生活からは離れているもので、面白く感じました。もし自分が喜捨をした相手が、自分ではなく神にだけ感謝していたら、私だったら「あれ?私には?」と思ってしまいそうです。
他にも、バザールでの価格交渉の話も興味深かったです。バザールの商人は、同じ商品であっても富裕者には高めに、貧しい人には安く売ることがあるそうです。日本のスーパーマーケットやコンビニでは、ありえない対応ですよね。
バザールの商人が価格を調整することで、その地域の生活の均衡を保全する役割を果たしています。
まとめ
イスラーム銀行とイスラーム金融について書かれた本を2冊紹介しました。
2冊に共通したメッセージとしては
ということだと思います。
イスラームに限らず、世界は広く、多様な生活様式や文化にあふれています。そんなことを改めて感じました。
海外旅行が難しい今こそ、異文化を本から学ぶこともまた、貴重な経験になると思います。
※愛用しているオススメのしおり
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