皆さんが今、働いている会社には何名くらい社員がいますか?会社の利益を社員数で割ると、1人あたりいくら稼いでいることになりますか?
事業拡大や、海外に事務所を構えるような計画はありますか?
会社であれば、常に右肩上がりの利益を目指すことが当然。事業を拡大して従業員数を増やしたり、海外拠点をいくつも持ったりすることが、望ましいと思います。
しかし、そういった考えとは真逆の「1人会社」という方法があることをご存じでしょうか。
今回は、全てが右肩上がりに成長してきた時代とは違う、これからの時代に合った経営について「1人会社」を提案している本を紹介します。
- 起業の準備を進めている方
- 今は会社員でも、独立することに興味がある方
- 起業する予定はなくても、これから時代に合った働き方に関心がある方
私は、起業する意思は今のところありませんが、時代に合った働き方には関心があります。そんな目線で読んでみても、新しい発想を知ることができるので、面白いです!
社員ゼロ!会社は「1人」で経営しなさい (山本 憲明/明日香出版社)
概要
今は会社員だけど、今後も同じ働き方を続けていくべきか悩んでいる、独立を考えているという人向けに書かれた本です。
- 会社の拡大を目指さない
- なるべく人を雇わない
- だれからも雇われない
今まで会社が目指してきた方針と反対の発想で、「1人経営」という選択肢を提示してくれます。
経済が右肩下がりになっていくことを見通し、それに合わせて、小さいままの事業を細く長く継続していくという理念が根底にある本です。
一度大きくしたもの、例えばオフィス、従業員などは、そこから小さくするためにカットするのが難しいです。
だからこそ、最初から拡大を目指す路線はやめて、必要最低限の資金で生計を立てていくのが時代に則した賢い働き方になるでしょう。
感想
これまでなら、起業してからどのように事業規模を拡大し、東証一部上場を目指していくか、というのが一般的な経営の指針になっていたと思います。
従業員を雇い、場所が足りなくなれば大きなオフィスを借り、いかに会社を大きく強くするかに焦点が当たっているからです。
人口減少に伴って、右肩下がりになっていくだろう経済情勢を見据え、小さく細く長く生計を立てていくことを奨励しているところが、本書の面白いところです。
ミニマリストに通じるところがあるように感じました。
関連する本
同著者の本で、「1人会社」に関する本があるので、合わせてご紹介します。
<図解>社員ゼロ!会社は「1人」で経営しなさい (山本 憲明/明日香出版社)
タイトルの通り、『社員ゼロ!会社は「1人」で経営しなさい』の内容を図で解説したものです。
文字で読むよりも、図を見て理解する方が得意な方は、<図解>だけの購入でも十分だと思います。
社員ゼロ!きちんと稼げる「1人会社」のはじめ方 (山本 憲明/明日香出版社)
いざ、これから独立して1人でやっていきたいけど、その方法が分からない、という方向けです。
導入部分と基本的な考えは、『社員ゼロ!会社は「1人」で経営しなさい』と重複する箇所もあります。一気に2冊購入するのではなく、まずはどちらか1冊、気になった方を手に取ってみてはいかがでしょうか。
合わせて読みたい
右肩上がりの成長が見込めないことや、労働時間いっぱいまで仕事が膨張してしまうことについて、ビジネス書ではなくアカデミックな分野から考えることもできます。
こちらの2冊がお勧めです。
起業する気はないにしても、経済と労働について、今どんな仕組みになっていて、どこに問題があるのか。社会を見つめ直すヒントになります。
ブルシット・ジョブークソどうでもいい仕事の理論 (デヴィッド・グレーバー/岩波書店)
社会人になるまでは、「残業とか過労死とか、そんな恐ろしいことがあるなんて、大人は大変だ…」という感覚で生きていました。
今、一企業の社員として働いている私は、ありがたいことに先輩に恵まれ、運よく残業もかなり少なく済んでいます。
でも、別の会社で働いている友達や、同じ会社の同年代の中には、働き過ぎて体調を崩したり、心が折れてしまったりという方が何人かいます。
私の知り合いという狭い範囲だけでも、思い当たる数人の顔が浮かぶのであれば、日本全体にはどれだけ働き過ぎで苦しんでいる人がいるんだろう、と想像すると悲しくなります。
そもそも、この膨大な仕事の意義とは?という疑問が湧いた時、お勧めしたいのが「ブルシット・ジョブ」です。仕事が増殖する仕組みが見えてきます。
※こちらの記事で詳しく紹介しています。
お金ってなんだろう?(中学生の質問箱) (長岡 慎介/平凡社)
そもそも、お金とは?というところから考え直すなら、中学生向けに分かりやすく書かれた、こちらの本がお勧めです。
私たちは資本主義経済の中で、会社は利益を求め、被雇用者は賃金を求めて働いています。
資本主義の仕組みは便利で合理的に見える反面、私たちの全てのもののやり取りが資本主義に則って行われることで、生じる問題もあるのです。
※こちらの記事で詳しく紹介しています。
まとめ
会社は従業員を増やしたり、事業を拡大したりすることを目指すのが当たり前だと思っていました。
でも、本書を読むと、時代に合わせて無理なく働くことを目標にした経営というのが、実は理にかなっているのではないかと思えます。
経営者も従業員も、人生100年時代と言われる今、本書を読んで、どんな働き方が自分には合っているのかを見つめ直せる機会にしてみてはいかがでしょうか。
『社員ゼロ!会社は「1人」で経営しなさい』はKindle版でも読むことができます。
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