「資本主義経済とは?」そう聞かれて、分かりやすく説明できる人がどれほどいるでしょうか。
私自身も何となく分かってるつもりだけど、いざ説明をするとなると「えーっと…」と言葉が詰まってしまいます。
今回は、資本主義経済について中学生向けに分かりやすく説明された本、資本主義のあり方とそれ以外の可能性を考えてみる本2冊をご紹介します。
お金ってなんだろう?(中学生の質問箱) (長岡 慎介/平凡社)
本書は中学生向けに書かれており、難解な表現がほとんど出てきません。
わたしたちがなんの疑問も持たず使っているお金とは?バブル経済とは?リーマン・ショックはどうして起こったの?金融とは?といったことから解説してもらえます。
経済についてきちんと勉強したことがないけど、どうして今の世の中がこういう仕組みになっているのか知りたい!という方にお勧めです。
資本主義経済とは「違い」を見つけてそこからお金を稼ぐことで回っている仕組みです。純粋に違いからお金を稼ぐだけなら問題がないように思えるのですが、
- 実体が伴っていないのに売買の差額(違い)から利益が生まれてしまう
- 価格が膨れ上がって、最終的にバブルが崩壊してしまう
という流れがあったのですね。分かってたつもりで、分かってませんでした。
本書の面白いところは、お金や資本主義経済の解説、その問題点を提示するだけで終わらないところです。
著者の先生はイスラーム経済が専門で、本書の後半ではイスラーム経済とイスラーム金融についても解説があります。
「イスラーム」と聞いて私たちが一般的に思い浮かべるのは髪を覆う女性、モスク、豚肉を食べてはいけない、などでしょうか。
イスラームを信仰・実践する方々は「お金はいくらでも稼いでいいけど、お金を貸す際に利子をとってはならない」そうです。
そんな中、世界的に広がるを見せるのが無利子のイスラーム銀行です。とはいえ、利益ゼロでは銀行は存続させられませんよね。
「無利子」と「儲けが出る仕組み」って、どうやって両立させてるの?
個人的にこの点が最もおもしろポイントでした!
※(追記) イスラーム銀行について、Kのが読んでみた入門的な本はこちらです。専門用語は多く出てきますが、100ページちょっとの薄めの本なので読み始めるハードルは低いです。
イスラームを知る12 イスラーム銀行 金融と国際経済(小杉泰·長岡慎介/山川出版社)
「その日暮らし」の人類学―もう一つの資本主義経済― (小川 さやか/光文社)
「お金ってなんだろう?~」の後に読んでほしいのがこの1冊。
先ほどは「イスラーム経済」を、私たちとは異なる経済の在り方として紹介しましたが、「その日暮らし」ではLiving for Todayを前提として組み立てられた経済の在り方を知ることができます。
私たちはよく、良い大学に行くために今勉強しなくては、良い企業で働けるように就活しなくては、良い老後を過ごすために今風がなくては…と未来を基準に今の行動を決めがちです。
本来は、いつ死んでしまうかも分からない存在なのに。
本書ではアフリカ・タンザニアの零細商人をメインに、Living For Todayで生きているタンザニア商人の生活、その基盤となる彼らの経済状況が、少し学術的ながらも生き生きと描写されています。
- タンザニアの商人はあれこれ夢を語るのに、それに向けた貯金や勉強をしない。
- お金を頻繁に貸し借りするのに、真面目にその返済をすることはない。
- 新しいビジネスを見つけてもそれを秘密にすることはなく、すぐに周りの商人にも教えてしまう。
- 夫婦で協力して同じ仕事をしようとはしない。
なぜか?
一見、非効率なのでは?と感じさせる方法でも、彼らの生活を知るとなぜそのようになっているのかが分かってきます。
現代の私たちに近づけて考えるのなら、企業、フリーランス、副業などのヒントとなる思考法が詰まった本とも言うことができそうです。
まとめ
資本主義経済の基本からそのあり方、それ以外の可能性について知ることができる2冊をご紹介しました。
自分たちが参与している経済の仕組みをよく理解し、もっといい方法はないのかな?と考えるきっかけになれば嬉しいです。
※イスラームと経済について、もう少し知りたい方へ。
※経済と労働について興味がある方にオススメの3冊。