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「ブルシット・ジョブ」が消えない理由を、グレーバーの本3冊から考える


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デヴィッド・グレーバーの名前を知らなくても、「ブルシット・ジョブ」という挑戦的なタイトルの本なら、見たことがあるかもしれませんね。

 

 

  • 誰も読まない書類を、なぜ作らなければならないのか
  • どうしてただ生きているだけで、多方面から制約を課されるのか
  • 国家とか政府って、結局誰の役に立っているの?

 

グレーバーの本には、そんな疑問に対する答えが凝縮されています。

 

 

私は「ブルシット・ジョブ」という印象に残るタイトルに惹かれ、読んでみたことがきっかけで、グレーバーの他の本にも手を伸ばしました。

 

どのグレーバーの本も、日常生活で忘れていたり、考えたことがなかったりした事実に気づかせてくれます。

 

 

  • なぜだか分からないけど生きづらい、働きづらい
  • そもそも、どうしてこんなに働く必要があるのか分からない

 

そんな方に、グレーバーの本がヒントをくれるかもしれません。

 

 

 

 

デヴィッド・グレーバーとは

デヴィッド・グレーバーはアメリカの人類学者、アナーキストかつアクティビストです。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス教授でしたが、残念ながら2020年に永眠されました。

 

グレーバーの本は、人類に課される様々な制約に、疑問を投じた内容が多い印象です。

 

グレーバーの本を読んだ後には、自分の肩にのしかかるものの正体が、何となく見えてくる気がします。

 

 

ブルシット・ジョブについて、グレーバー自身が語っている9分程度の動画には、日本語字幕がついています。

 

まずは動画を見て、興味が湧いたら「ブルシット・ジョブ」を読んでみてはいかがでしょうか。動画だけでも、面白い気づきがあるかも…。

 

 

https://www.youtube.com/watch?v=jHx5rePmz2Y

 

 

ブルシット・ジョブークソどうでもいい仕事の理論 (デヴィッド・グレーバー/岩波書店)

 

 
 
概要

特に先進国のあちこちに存在する、ブルシット・ジョブの存在を暴いた作品です。

 

ブルシットジョブを簡単に説明すると、

 

働いている本人でさえその仕事に意義を見出せないのに、その仕事には意味があるふりをしなければならない仕事

 

 

グレーバーが、「自分の仕事はブルシット・ジョブだと思う」というエピソードを募集したところ、数多くの例が集まったそうです。

 

 

グレーバーは、「ブルシット・ジョブ」を5種類に分類します。

 

 

  1. 取り巻き…偉い立場にある人、例えば大企業勤務とか会社の重役とかを立派に見せるために存在している仕事。
  2. 脅し屋…他者を脅すために存在している仕事。
  3. 尻ぬぐい…組織の欠陥を埋めるために存在している仕事。
  4. 書類穴埋め人…表向きの目標達成には何ら結びつかない書類を、穴埋めする仕事。
  5. タスクマスター…仕事を他者に配分するだけの仕事。

 

 

ブルシット・ジョブはなぜ生まれたのか、封建制度、聖書、奴隷の歴史も振り返りながら、グレーバーは検討しています。

 

 

さらに、心理学・経済学の理論も引用し、

 

  • 人は何もせずにじっと過ごすよりは、労働することを選ぶという性質
  • 仕事をするふりを強要されることに対する、精神的苦痛
  • 全ての仕事に需要があるから存在するというのは、思い込みである

 

これらを明らかにしています。

 

 

感想

一言で表すなら、とても面白かったです。

 

  • どうして私が今のように働いているのか
  • 勤務時間中は、たとえ手が空いたとしても、忙しく見せなければならないのか

 

その仕組みを理解できたと思います。

 

 

同時に、知ってしまって悲しくなったこともあります。

 

  • 人の役に立つことは、その仕事(例えば保育、介護など)をしている人だけに与えられた効用なのだから、労働環境の改善(例えば賃上げ)は認められない
  • 研究とか創作活動とか、行為自体にやりがいがある夢のような仕事は、それだけで意義があるのだから、高給は望めない
  • つまらなくてやりがいのない仕事(=ブルシット・ジョブ)を行うことでのみ、よい給料を担保できる

 

 

こうして書いてみると、全くおかしな話ですよね。それがまかり通っていると思うと、悲しくなります。

 

 

「働かないとお金がもらえない→お金がないと生きていけない→だからつまらなくてやりがいがなくても働く」って、なんだか間違った構造に思えます。

 

 

とはいえ、そういった気づきを多くの人が共有できれば、少しずつでも社会は良い方向に変わって行けるものと思いたいです。

 

 

※ブルシット・ジョブについては、「仕事が辛いのはどうして?」という観点からも紹介しています。お仕事に悩まれている方は、ぜひ読んでほしいです!

knonononai.hatenablog.com

 

 

官僚制のユートピアーテクノロジー、構造的愚かさ、リベラリズムの鉄則 (デヴィッド・グレーバー/以文社)

 

 

 

概要

私たちの生活に、なぜこれほど官僚制が浸透し、維持されてきたのかを考察した本です。

 

長い歴史から、現代まで例を挙げ、主に暴力・テクノロジー・合理性と価値という観点から、検討します。

 

 

日常的にあらゆる場面で、仕事で、市役所で、保険で…私たちは書類仕事に遭遇しますよね。

 

書類仕事は、官僚制を代表しているとグレーバーは言います。書類仕事は日常生活に蔓延していて、書類が全くない社会を想像できないほどです。

 

 

書類に代表される官僚制がなくならない理由を、グレーバーは2つ挙げています。

 

一つ目に、官僚制が一度設立されてしまうとそれを解体するのもまた官僚制的方法でのみ可能だと思われていること

二つ目に、管理者と被管理者の双方にとって解釈労働をしなくて済むという利点があること

 

 

「この人は今、何を考えているのかな」とか「どのように説明したら許可してもらえるのかな」と考える解釈労働を省くことは、非人格的なやりとりにつながります。

 

 

非人格的なやりとりは、細かな説明を省けるという点で、一見合理的に見えるかもしれません。

 

しかし、規則と規制といった手段から離れたところにある創造性からは、より遠ざかってしまいます。

 

さらに、価値ある発見が生まれなくなることを、グレーバーは指摘します。

 

 

感想

「ブルシット・ジョブ」の内容がとても印象に残り、「官僚制のユートピア」も読んでみました。

 

「ブルシット・ジョブ」でも感じたことですが、歴史を振り返って、どのような出来事の後に、どのような体制変換が起こったのか、よくまとめられていると思いました。

 

 

右翼・左翼、SFの事例など、私には正直、理解しきれない部分もありました。

 

でも、全体として、なぜこれほど私たちが書類仕事に追われているのかは、知見が広がりました。

 

読めば読むほど、今の自分たちの生活が不思議に感じられ、行政などが機能していない国のほうが、実は自然体なのかもしれないとさえ思えました。

 

 

会社員をされている方々は、もしかしたら思い当たるところがあるかもしれませんが、膨大な書類仕事は、一体誰を幸せにしてくれるのでしょうか。

 

しかも、煩雑だったり複雑だったりする書類でも、不備があると、罰則が設けられていることもありますよね。

 

書類仕事が必要最小限になったら、もう少しゆとりのある働き方ができる気がしました。

 

 

アナーキスト人類学のための断章 (デヴィッド・グレーバー/以文社)

 

 

 

概要

アナーキスト人類学のための断章」は、「アナーキスト人類学」の確立を目的として、それがなぜ存在していないのかという観点から、理由を検討しています。

 

アナーキズム」というと、「反理論的である」と解釈されやすく、アカデミック界隈から敬遠される傾向があります。

 

この傾向が、「アナーキスト○○学」が成立してこなかった理由だと、グレーバーは説明します。

 

 

とはいえ、アナーキスト人類学が全く現れてないというわけではなく、「国家と市場の論理をはっきりと拒絶することに基礎をおいていた」社会の例を、人類学者たちは複数知っているのです。

 

 

人類学者たちが蓄積してきたデータをつなぎ合わせれば、例えば拡大する貧富の差や、長時間労働の解決への糸口を、掴める可能性があります。

 

 

グレーバーのようなアナーキストたちの方策は、「非現実的だ」という反論にさらされやすいです。

 

では、なぜそれが「非現実的」なのか。

 

その要因こそ、私たちの社会をよりよくするために、避けて通れないヒントなのです。

 

 

感想

グレーバーの著書を読むのは、「アナーキスト人類学のための断章」で3冊目です。

 

3冊読んでみて、グレーバーの得意とするところや、強く主張したいポイントが見えてきました。

 

「官僚制のユートピア」、「ブルシット・ジョブ」とつながる記述がありました。

 

 

アナーキスト人類学のための断章」についても、全てを理解できたとは言えません。

 

それでも特に印象的だったのは、「国境を誰でもどこでも行きたいように解放すること」を、世界的貧困を解消する1つの方策として挙げていたところです。

 

 

確かに、「貧困国から先進国に人が押し寄せてくるとしたら、先進国は必死になって貧しい地域の人たちがそこに留まるような策をひねり出す」という予測は、納得してしまいます。

 

 

非現実的だと思うけれど、それがなぜ現実的でないのか。

 

 

サンタ装束で棍棒に叩かれるクリスティーナの例も、ショッキングなぶん印象に残りました。

 

残酷だなあと思うけれども、資本主義の現実を知らしめるには、最適な手段なのかもしれないですね。

 

 

さらに、「働き過ぎを解消すればするほど、夜間の業務などは減って、結果的に労働時間が減るだろう」というブルシット・ジョブにつながる内容が、既にはっきりと述べられていることにも注目です。

 

アナーキズム」というキーワードから、官僚制とか政府って何だろう?と改めて考えました。

 

 

※「アナキズム」を理解するには、こちらの本もお勧めです。

 

くらしのアナキズム (松村 圭一郎/ミシマ社)

 

 

 

knonononai.hatenablog.com

 

 

まとめ

「ブルシット・ジョブ」で有名な人類学者、デヴィッド・グレーバーの本を3冊ご紹介しました。

 

どれを手に取って読んでみても、これまで当たり前だと思っていたことの輪郭がぼやけていくような、時には音を立てて崩壊するような体験ができると思います。

 

 

私たちが住む社会が、多くの人にとってよりよく、より住みやすいものになってほしいですよね。グレーバーは、そのヒントを沢山残してくれたと思います。

 

 

グレーバーの著書は、Kindle版でも読むことができます。

 

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