「母親になって後悔してる」
そんなことを言うのは許されるのか...?
許されるわけがないと思うのなら、それはどうして?
「母親になってしまったことに対する後悔」という、
タブー視されてきたテーマに正面から向き合った1冊です。
- 既に母親で、誰にも言えないけれど、実は後悔している方
- これから母親になるかもしれない方
- 子どもを持ちたくないことで、なぜか肩身が狭く感じる方
- もしくは、全ての女性のパートナーの方
こんな方に読んでみてほしい本です。
「自分だけではない」という事実が、大きな救いになるかもしれません。
「母親になって後悔してる」の概要
母になったことを後悔するという、
タブー視されてきたトピックに議論の場を設けることが目的の1冊です。
2008年から2013年にかけて、
母になって後悔している様々な社会集団の幅広い年齢の女性23人に
綿密なインタビューを重ねています。
そこからは、綺麗ごと抜きの女性の本音が
痛々しいほどに伝わってきます。
「後悔」を定義するための最初の基準は、
①後悔している当事者女性の自己認識があること。
次の2つの基準は、
②「今の知識と経験を踏まえて、過去に戻ることができるとしたら、
それでも母になりますか?」に対してノーと答えること。
そして②の答えがイエスの場合、
③「あなたの観点から。利点は欠点を上回っていますか?」に対して
ノーと答えること。
その結果、
「母になったことに対する後悔」と「子どもへの愛」が、
両立するものであること、複雑に絡みあって共存していることが分かります。
感想
私は既婚の20代後半女性で、子どもはまだいません。
これから持つかもしれないし、一生持つことはないかもしれない。
まだ先のことは分からない状況です。
でも、だからこそ、子どもを持つ前に読んでみたいと思いました。
子どもを一度持ってしまったら、後戻りはできないから。
責任を放棄することはできないからです。
本書を読んでみて、子どもを持ちたいか/持ちたくないか?
それはパートナーとの話し合いにもよりますが、
「世間のよく分からないプレッシャーに流されて持つ」
ことだけはしたくないと思った次第です。
特に印象的だった内容を3つ紹介します。
「産後うつ」ではない!
出産後の女性が
もしも「やっぱり子どもなんて欲しくなかった...」と言ったとしたら?
それは「産後うつ」だから、
症状がよくなればそんなこと思わないはず、と片付けられてしまう。
どうして「純粋に後悔している可能性」を抹消してしまうのか?
今まで一度たりとも考えたことがなく、
はっとさせられた問いかけです。
お金があれば楽しく子育てできる?わけではない!
本書を読むまで、私も思っていました。
「とは言え、金銭的な余裕があれば
精神的にそこまで追い込まれることなく子育てできるのでは?」と。
これもまた、「純粋に後悔している可能性」を
考慮しない意見ですよね。
お金があろうとなかろうと、
親になりたくなかったという感情は存在するのです。
親にならない女性は、みんながバリキャリを目指しているわけではない!
これだけ多様性が重視される時代なのに、
確かに親でない女性に対して
「仕事にかけてるんだろうな」
「仕事に一生懸命になりすぎて、タイミングを逸したのかな」
なんていう勝手な憶測が飛ぶことがあります。
もちろん仕事一筋の方もいるとは思いますが、
そうではない、「親になることも仕事も選ばない」という生き方だって
多様性の一部ですよね。
まとめ
これまで公に語られてこなかったタブーに切り込んだ、
「母親になって後悔してる」をご紹介しました。
子どもを持つ人/持たない人、望む人/望まない人にかかわらず、
自分の人生において何を優先して生きたいのか。
よく考える契機になる本です。
また、これまで抑圧されてきた母の声を丁寧に集めた、
ある種の救いの書とも言うことができそうです。
「母親になって後悔してる」はKindle版でも読むことができます。
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「母親」に寄り添う本が気になる方は、
「海をあげる」もお勧めです。
海をあげる (上間 陽子/筑摩書房)