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【感想】益田ミリ「永遠のおでかけ」悲しみとほっこりの共存エッセイ


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家族が亡くなってしまった時、悲しみや喪失感に襲われても、時間とともにそれが薄れていく実感。

 

次第にその人の死に思いを馳せる時間が短くなっていっても、日常のふとした光景で、また蘇ってくる感覚。

 

父を亡くした悲しみと、そんな出来事があっても日常は続いていて、その中で見つけ出せるほっこりが共存したエッセイが、益田ミリさんの「永遠のおでかけ」です。

 

 

  • 大切な人の死を経験して、悲しい思いをした方
  • 死別を乗り越えたように見えても、日常のふとした瞬間に思い出して後悔する方
  • 最近なかなか親に合えていない方
  • 益田ミリさんのファンの方

にお勧めしたい1冊です。

 

私は益田ミリさんのエッセイとマンガを、これまでに20冊以上読んできました。

 

「永遠のおでかけ」の感想とともに、益田ミリさん作品の素敵なところを紹介できればと思います!

 

 

 

 

永遠のおでかけ (益田ミリ/毎日新聞出版)

 

 
 
益田ミリさんの父が亡くなる前後のエピソードをまとめたエッセイです。
 
ちょっと短気で機嫌を損ねやすく、素直じゃない。でも、ケチくさくないところが潔い。
 
家族であれば、長い時間を一緒に過ごす中で、いいところも悪いところも見えてきます。
 
父の命が残り長くはないと自覚し、帰省の度に「一緒に○○するのは、これが最後かもしれない」という思いが湧き出てくる様子が、寂しくも大切にしたい瞬間として心に残ります。
 
 
感想

益田ミリさんの作品は、エッセイとマンガを合わせて20冊以上読んできました。

 

日常の中の幸せに気付き、それを噛みしめるような内容が多い気がしています。

 

「永遠のおでかけ」は「父の死」がテーマになっているため、その要素がさらに色濃く出ていると思いました。

 

 

「父が亡くなった」というところでは終わらず、悲しい思いを抱えたままでも葬儀の準備に取り掛かったり、遺品を整理したりという現実的な時間の流れも描かれています。

 

「誰かが亡くなって悲しい、喪失感がある」

 

それでも日常生活は続いていきます。

 

父の死を完全に乗り越えられなくても、むしろ乗り越える必要はなくて。

 

ふとした瞬間に思い出しながら、残された人たちは生活を続けていくのだ、という様子が見えて、励まされる作品です。

 

 

益田ミリさんのお勧めマンガ

益田ミリさんはエッセイもマンガも、多くの作品を出しています。

 

とても人気がある作家さんなのに、エッセイで描かれる益田ミリさん自身にも、マンガの登場人物たちにも、親しみと共感が持てます。

 

 

ミウラさんの友達 (益田ミリ/マガジンハウス)

 

 
 
2022年3月発売の作品です。
 
主人公のミウラさんが、5つの言葉しか話せない「トモダチ」というロボットと一緒に生活するお話です。
 
4つの言葉は、トモダチを購入する時点では明らかにされていません。そのうち3つはすぐに分かるのですが、最後の1つは後半でやっと登場します。
 
5つのうち1つは、購入者が自分で決めることができるのです。
 
 
トモダチはミウラさんの表情を読み取って、5つの言葉のうちどれかを発します。
 
ミウラさんがトモダチの言葉を聞くことで、自分の気持ちに確信が持てるところに、一方的ではない、双方向的なコミュニケーションが見えるようでした。
 
「4つ目の言葉は何だろう?」「自分だったら、トモダチに何て言ってほしいか」考えながら読むことができます。
 
 
スナック キヅツキ (益田ミリ/マガジン)

 

 
 
2021年1月発売のマンガです。
 
傷ついた人だけ辿り着ける、お酒を出さないスナック キヅツキ。そこに誘われるようにやってきた人と、ぶっきらぼうに寄り添ってくれるママとの夜の情景が描かれます。
 
毎日働いたり、家事・育児に追われたりしていれば、心底傷つくことではなくても、「モヤっ」「イラっ」が溜まる瞬間はあるのではないでしょうか。
 
自分が傷つけられたように、自分もどこかで誰かを傷つけている可能性もあるんですよね。
 
 
特定の誰かが悪いわけではなく、みんながお互い少しずつ弱い、人間らしいところがリアルに感じられます。
 
 

益田ミリさんの旅行エッセイ

益田ミリさんは、国内外に旅行されたエッセイも多く書いています。きっちりと計画された旅よりも、ふらっと肩の力を抜く旅が好きな方にお勧めしたいです。

 

こちらの記事で紹介していますので、ぜひご覧ください!

 

knonononai.hatenablog.com

 

 

まとめ

「永遠のおでかけ」他、益田ミリさんのお勧め作品をいくつかご紹介しました。

 

肩ひじ張らずに読めて、気持ちが少し軽くなったり、柔らかくなったりする作品が多いです。

 

気になったものから、ぜひ読んでみてくださいね!