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【感想】朝井リョウ『正欲』三大欲求の性欲って本物?


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『正欲』というタイトルからは、

三大欲求の『性欲』が思い起こされます。

 

 

 

睡眠欲と食欲は老若男女問わず、

日々人が満たしているものと言えそうですが、性欲はどうでしょう。

 

 

 

睡眠欲と食欲とは違って、

全ての年代、性別に当てはまるわけではないですし、

仮に満たせなくても生命維持に影響するわけでもありません。

 

 

 

 

そう考えると、性欲は睡眠欲や食欲ほど、

確固としたものではない気がします。

 

 

一方で、多様性尊重の流れは留まるところを知らず、

様々なセクシュアリティを持った人たちが、

カミングアウトしたり自由に恋愛したりしています。

 

 

 

 

多様性が尊重されることは良いことであると思う反面、

自分の理解を超える指向とぶつかってしまったら…?

 

 

  • 多様性は大事で、尊重する流れは今後も進んでいくべきと考える
  • 「多様性尊重」の風潮に疲れ気味である
  • 朝井リョウ作品のファン

 

 

という方、朝井リョウさんの作家生活10周年の作品『正欲』をお勧めします!

 

 

この記事では、

「正欲」の感想と多様性を考えさせられる作品をご紹介します。

 

 

気になった方は、ぜひ読んでみてくださいね。

 

 

 

 

「正欲」の概要

正欲 (朝井 リョウ/新潮社)

 

 

 

 

朝井リョウさんと言えば、

日本を代表する小説家の一人です。

 

 

 

桐島、部活やめるってよ」以降も数々の作品を世に出し、

作家生活10周年の記念として完成したのが「正欲」です。

 

 

 

多様性尊重の風潮に、

疑問を投げかける作品です。

 

 

朝井リョウ作品の印象

朝井リョウさんは、私の好きな作家さんの1人です。

 

 

人間の恥ずかしいところとか、

人には聞かれたくない腹黒めな心情とか、描写が絶妙です。

 

 

特に、他人をどこか蔑んだり距離を感じたりする表現に、

共感してしまうこともあります...。

 

 

 

朝井リョウさんの作品はいくつか読んでいますが、

どの作品でも登場人物の感情の表現力に惹かれます!

 

 

「正欲」の感想

「多様性尊重」について、考えさせられる作品です。

 

 

「LGBTQの権利は保障されるべきで、偏見はなくなってほしい」

「でも、小児性愛は犯罪である」

「ましてや、人でないものに興奮する癖なんて、理解できない」

 

 

 

こういった理屈を並べてみると、

私たちのいう「多様性」が

実はかなり狭いものであることが見えてきます。

 

 

 

マイノリティが声を上げて、

少しずつ見えてきた存在は多様性に含んでいくべき。

 

 

 

でも、

指向すること自体が犯罪になってしまうとか

特殊すぎてそもそも他人に理解してもらおうとは考えていないとか

 

 

私たちが認識できないマイノリティの方が、

本当は一定数いるのではないかということに気づかされます。

 

 

 

仮に何かのきっかけで、そういった存在を目の当たりにしたとして、

分が理解したり尊重すべきとみなしたりできる対象は、

自分の常識の範囲でしかありません。

 

 

 

 

「正欲」を読んでなお、

私は多様性は尊重したいと考えます。

 

 

でも、そもそも自分の理解の範疇を超える指向に出会ってしまったとき、

自分はどう反応するのか。

 

 

自分はさもマジョリティ側にいることを前提に語っているけれど、

自分が何かの分野において圧倒的マイノリティの性質を持っているとしたら、

それとどう向き合い、生き延びていくのか。

 

 

読後は救いようのない諦めの気持ちと、

視野が広がったというより、こじ開けられた感覚が残ります。

 

 

まとめ

朝井リョウ「正欲」の感想をご紹介しました。

 

 

読んでしまうと、これまでの善意やポジティブな活動が

同じ感覚で見れなくなってしまうかもしれませんが...。

 

 

ともあれ、

より広い意味での「多様性」を考える1冊になること間違いなしです!

 

 

 

「正欲」はKindle版でも読むことができます。

 

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あわせて読みたい 

「正欲」を読んで、他の朝井リョウ作品が読みたくなった方、「多様性」をさらに考えようという方に、それぞれお勧めの本を紹介します。

 

気になったものから、手を伸ばしてみてくださいね。

 

 

朝井リョウ作品をもっと読みたい方

死にがいを求めて生きているの (朝井 リョウ/中央公論新社)

 

 

 

「性欲」を「正欲」と言い換えるセンスは、

「生きがい」を「死にがい」にするところにも表れています。

 

 

こちらの記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください!

knonononai.hatenablog.com

 

 

何者 (朝井 リョウ/新潮文庫)

 

 

 

就活が始まる前に、

疫を付けるために読んだ思い出があります…。

 

 

つくづく就活って不思議なシステムだと思わされます。

 

 

時をかけるゆとり (朝井 リョウ/文春文庫)

 

 

 

朝井リョウさんの小説は、

なかなか人間のダークな部分を抉り出す印象が強いです。

 

 

しかし、彼の学生時代のエッセイは

もっとポップで笑える要素がたっぷりあります!

 

 

人気小説家も1人の人間であることを実感します。

 

 

 

「多様性」について、さらに考える読書案内

コンビニ人間 (村田 沙耶香/文藝春秋)

 

 

 

「正欲」に通じる部分が多い作品だと思います。

 

 

世の中一般から逸れて生きることの辛さ、

そして逸れる人の内面にずかずかと踏み入るマジョリティ側の暴力的な態度が、

生々しく描かれます。

 

 

 

聖なるズー (濱野 ちひろ/集英社文庫)

 

 

 

「正欲」のノンフィクション版というと、

イメージが湧きやすいかもしれません。

 

 

常人は考えが及ばないだろう性的指向の実情を、

体当たりで見聞きしてきたからこそ描ける貴重な作品です。

 

 

こちらの記事で詳しくご紹介しました!

 

knonononai.hatenablog.com