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【人生は20代で決まる】20代女性会社員が読んでみた感想


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「人生は20代で決まる」…のんびりと、もしくは特にこれといった目標や人生計画がなく生きている20代にとっては、ドキッとするタイトルです。

 

この本は、TEDトークで大きな反響を呼んだ、アメリカの心理学者であるメグ・ジェイ博士による本です。彼女はカウンセラーとして、10年以上若いクライアントと対話を行ってきました。

 

面白い点は、本書は「20代について」ではなく、「20代に向けて」仕事・恋愛・将来設計の点から書かれたということです。

 

20代の価値観について研究・考察した本というより、20代に向けて「20代こそ、その後の人生を決める大変重要な時期なのだ」ということを、豊富なカウンセリング経験と確かなデータを元に訴えかけています。

 

私も自分の将来が気になる20代の一人として、本書を読んだ感想をまとめます。

 

人生は20代で決まる TEDの名スピーカーが贈る「仕事・恋愛・将来設計」講義 (メグ・ジェイ 小西 敦子訳/早川書房)

 

※著者のメグ・ジェイさんによるTEDの動画です。

Why 30 is not the new 20 | Meg Jay - YouTube

 

 

本書は仕事、恋愛、脳と肉体という3部構成になっています。1部ずつ特に印象に残った箇所について、抜粋します。

 

第1部 仕事

アイデンティティ・キャピタル

アイデンティティ・キャピタルは大人の市場に持ち込まれる資質だということ。たとえていえば、仕事や人間関係のほか、望むものを得るための通貨なのです。

 

アイデンティティ・キャピタルとは、時間をかけて自ら習得した、自分の価値を高める経験や技術です。分かりやすいものであれば、学位、職歴、テストの成績などです。話し方、居住地、外見などもアイデンティティ・キャピタルに含まれるそうです。

 

20代のうちにアイデンティティ・キャピタルを形成することが、将来のキャリアに大きな影響を与えます。

 

今自分が持っているアイデンティティ・キャピタルについて、見つめ直してみようと思いました。

 

ゆるいつながりこそ大事

ゆるいつながりは、あなたには見えていない、したがって未知のものを見えるようにしてくれる架け橋だと言えます。

 

弱い紐帯の強み」は、社会学者のグラノヴェッターによって着目されました。

 

新しい出会いや仕事の機会は、私たちが普段から接している人たちからではなく、「何らかの関係がある」くらいのゆるいつながりからもたらされることが多い、という内容です。

 

 

第2部 恋愛

結婚をまじめに考える

つまり、大学選びよりも結婚相手選びのほうが、人の幸福を左右するという話です。大学は無数の学問的知識を提供してくれるものの、賢い結婚の仕方を教えてくれる講義はまったくなく、まさにそれが社会を混乱させている第一の理由であると彼は述べました。

 

確かに、と納得しました。仕事と恋愛および結婚が人生の幸福度を大きく左右する要素なのに、それらの選択は人それぞれという理由もあって、画一的な教育内容には含まれていません。

 

でも、せめて仕事と恋愛および結婚の選択がどれだけ人生に影響を与えるのか、幸福度を上げる選択をするにはどう行動すればよいのかは、大人が教える機会があってもよいのかもしれません。

 

本書がまさにその役割を果たしています。

 

同棲は得? それとも損?

男性も女性も、同居している相手に求める基準は、結婚相手に求める基準よりも低いと認めているのです。

 

結婚を前提とした同棲はともかく、お互いの家を行き来していた成り行きでの同棲は、お勧めできないというデータがあるそうです。

 

同棲すると、お互いにそれぞれ家があった時とは異なり、家賃・水光熱費・家具・家電などを共有することになります。お金が大いに絡んでくるので「なんか違うかも」と実は気が付いていても、それらの解約が面倒で、関係をだらだらと延長してしまう原因になります。

 

 

第3部 脳と肉体

自信はどこから生まれる?

自信は内から外に出てくるのではなく、外から内へと入ってきます。外の世界でうまく行動した事柄を挙げられれば、心配は減り、自信が強まります。

 

大切な考え方だと思いました。例えば入社したばかりの頃は右も左も分からなくて、案件を任されても「私にできるのかな…」と心配していたことを覚えています。

 

たとえ難易度の低いことであっても、1つでも2つでも「自分でできた」と思える経験を積むことが、自信につながるんですよね。

 

妊娠と出産と不妊の問題

年齢によっていくつかのことが変化します。これは、子供を望むすべての人が知っておいたほうがいいことです。

 

正直、最も考えさせられたのがこの章です。私は女性なので「何歳までの妊娠率は○○%で、それ以降はぐっと下がる」というデータから、今まで真面目に向き合ってこなかったという現実を突きつけられた気持ちです。

 

年齢が上がっても産める人はいるし、若くてもそれがなかなか叶わない人もいる。

 

それにしても「いつか産みたい」と思っているのなら、具体的に何歳頃がいいのか、逆算して考えるべき時のようです。

 

 

感想

日本とアメリカの違い

まず、カウンセリングを受けることは、アメリカでは意外と一般的なようです。その点が日本とは異なります。

 

日本でカウンセリングを受けるというと、何か心に大きな問題があるか、その手前という印象があります。本当はそんなに気負うことなく足を運んだ方が、ことが大きくなる前に対処できるのですが。

 

カウンセリングを気軽に受けられる文化が、日本でも根付いたらいいのにな、と思いながら読んでいました。自分の悩みを誰かに聞いてもらえること、心理学というアカデミックな根拠を持った相手から助言をもらえること、非常に有意義ですよね。

 

一方で、若者の悩みって意外と世界共通なことも多いのかもしれません。本書はあらゆる国の20代から反響があったようです。

 

 

※こちらの記事も参考にしました。

アメリカではカウンセリングを受ける事はとても普通の事

 

ちょっとした逃げ場

この本を読んで、少々耳が痛いと感じました。「行き当たりばったりのライフプランではなく、今こそ将来について計画を立てるとき」と本書は20代に迫っています。

 

20代を今と同じように生きていて、30代、40代になったときに後悔するかどうか。その時になってみないと分からないよなーなんて思ったことも否めません。こういう考えが20代の甘えなのかもしれませんが…。

 

 

20代の大多数が依然として結婚し、子供を持つことを望んでいる、とあります。本書がアメリカで出版されたのは2012年なので、世に出てからもうすぐ10年が経とうとしています。今なお支持されている本ですが、10年近く経った今でも同じことが言えるのかは、最新のデータを見てみないと分かりません。

 

 

10年前よりも、20代が望む将来は多様になっているのではないか、とも感じます。結婚していない、子供がいない、理想のキャリアを築いているわけではない人たちにもそれぞれの生き方があって、それはそれでよいのではないか、と思ったことも事実です。

 

息苦しく感じた方に、全くジャンルは異なりますが、日本の小説を紹介します。こちらを読んで深呼吸してから、キャリアプランを練ってもよいのではないでしょうか。

 

 

コンビニ人間 (村田 沙耶香/文藝春秋)

 
 

※こちらの記事で詳しく紹介しています。

knonononai.hatenablog.com

 

 

まとめ

「人生は20代で決まる 」確かに20代で読んでよかった本です。特に、具体的な数値や自分と同じような悩みを持つ20代の声を目の当たりにして、共感からはらはらすることもありました。

 

 

人生において何かが突然大きく変わることは稀で、日々の選択と積み重ねが30代、40代、その先の生活をも左右するということを自覚する機会となりました。

 

今20代の方、20代に限らずライフプランに悩みのある方、ぜひ手に取ってみてください。有益なヒントが詰まっています。

 

 

※愛用しているオススメのしおり

knonononai.hatenablog.com

 

 

※具体的なライフプランを立てるときの参考になる本について、記事にしています。

knonononai.hatenablog.com